pslaboが試したことの記録

はてなダイヤリーからはてなブログに引っ越してきました

この日記は現在実行中の減量記録を含む個人的なメモとして始めましたが、最近はコンピュータやガジェット、ハック、セキュリティネタのほうがメインになっております。

はてなダイヤリー時代はカテゴリ分けが適当だったのですが、これはそのうち直します。


柏崎刈羽原発の廃炉を求める署名運動

柏崎刈羽原発廃炉を求める署名運動というのがあるらしい。趣旨については理解できる。でも私は賛同しない。なぜなら、私は原子力で作られた電気の恩恵を十分に受けていると思うからだ。べつにエコキュートとかIHクッキングヒーターの類を使っているわけじゃない。単に24時間運用のサーバを動かしていたりと、夜間でも電源を切れない機械をいくつか動かしているだけだが、これらは原子力で作った電気で動いているといっても過言じゃない。

基本的に24時間継続して稼動する機材の電力はベース運用で作られたものだ。ベース運用とは、原子力や水力など、発電量の微調整が容易ではない方法だ。この大半は原子力で作られている。どっかの会社は、自社のサーバの電力はグリーン電力であると言っているが、自社の消費分に相当する電力を外部委託しているというだけで、こんなのはまやかしにすぎない。

原発廃炉を求める方々は、自分が生活で消費する電気が何に依存しているのかを一度よく考えたほうがいい。原子力で作られた電力を消費していないという自信があるならば、廃炉を主張すればいいさ。でもエコキュートのように原子力(ベース運用)に依存した機器を使っている人や、IHクッキングヒーターのようにエネルギーの無駄遣いをしている方々は、それを使う生活を止めてから主張すべきだろう。

また、現時点において廃炉を議論するのは性急すぎると思う。再稼動が可能かどうかを厳密に検証した上で、稼動が不可能という結論が出たならば止むを得ないとは思う。しかしその場合には早急に代わりの原子力発電所を作るべきだ。

柏崎刈羽原子力発電所の総発電量は821万2千キロワットである。これは原子力発電所としては世界最大級らしい。この出力の発電所を廃止したら、どの程度の影響が生じるだろうか。

原子力発電は一定の出力を24時間365日継続して提供している。電力消費量は時間帯によって変動するが、基本的には深夜早朝の時間帯が最も低い状態となる。この電力はベース運用と呼ばれる状態で供給されている。この運用は原子力や水力など、発電量の調整が容易ではない方法によって行われている。しかし800万キロワット余りの電力供給源が停止すると、不足分は必然的に火力で補うことになる。つまり CO2 の排出量の増加につながる。つまり単に原発を減らすだけでは地球温暖化を促進するだけかもしれない。

ならば柏崎刈羽原発廃炉を主張する方々は、減少したベース運用の分だけ夜間の電力使用量を軽減するような生活スタイルを受け入れることが必要であろうと思う。具体的には次の行為を徹底できる者が、柏崎刈羽原発廃炉を主張できると思う。

  1. 早寝早起き。
  2. 待機電力カットなど省エネを心がける。
  3. オール電化住宅に住まない。

まず、早寝早起き。ベース運用の出力を抑えるにはこれが大事なことは言うまでもない。待機電力のカット等による省エネも同じ。

では、オール電化住宅に住まないとは何か。深夜電力による給湯とIHクッキングヒーターがオール電化住宅の特徴だが、これらはいずれも低コストで供給される電力の恩恵をうけており、これはすなわち原子力発電によるものと言える。だからオール電化住宅に住んでいる者は、基本的に原発廃炉を主張してはならない。

電気代の安い深夜電力でお湯を沸かすエコキュートは、これはベース運用によって賄われている。エコキュートが普及すればするほど、ベース運用で供給しなければならない電力量は増えることになる。これはつまり原子力発電を許容することと同じであると言えるだろう。柏崎刈羽原発廃炉を主張するならば新たな原子力発電所の建設を許容することがオール電化住宅に住むということだ。

また電気を使って熱を作るという行為は、熱効率の観点から言えば間違いである。一部の発電方式(水力、風力、太陽光)を除けば、発電機を動かすために何かを燃やして発生したエネルギーを使っている。そうやって作った電気から熱を作り出すわけだ。電気というエネルギーは、コンセントまで届く時点でエネルギーロスが2種類発生している。発電時のエネルギーロスと、送電経路で発生するエネルギーロスだ。このエネルギーから熱を作る際にもエネルギーロスが発生する。あまりにももったいない話である。ちなみに世界最高水準の熱効率を誇る品川火力発電所でさえも熱効率50%である原子力発電所の熱効率は設備設計が安全側に振ってるため、熱効率はもっと悪いらしい。

ではガス給湯器のエネルギー効率はどうかというと、熱効率80%位、エコジョーズ対応機器だと95%位の熱効率だそうだ。エネルギー源としての電気を作る時点で、元のエネルギーの50%しか使えていないのだから、熱源としては論外である。エネルギーの有効活用という点において、熱を電力によって生成するという行為は間違いである。安全性という点においてはもちろんガスよりも電力による方法が勝っているが、これは原子力発電というランニングコストの低い発電方式によって賄われていることを意識しなければならない。

便利で安全な生活を求めることと、原子力による発電を排除することは現時点では相反する主張である。深夜電力の恩恵を受けている者は不用意に原子炉の廃炉を主張しては駄目だ。