pslaboが試したことの記録

はてなダイヤリーからはてなブログに引っ越してきました

この日記は現在実行中の減量記録を含む個人的なメモとして始めましたが、最近はコンピュータやガジェット、ハック、セキュリティネタのほうがメインになっております。

はてなダイヤリー時代はカテゴリ分けが適当だったのですが、これはそのうち直します。


NHK の事業収入と他の省庁や他の放送局の売上高を比較してみる

たまには IT とは違うネタで気になったことを調べてみます。

Twitter で以下のような比較を見かけたけれど、こういう比較のしかたには違和感を覚えるので、ざっくり調べてみました。

NHKの異常さが一目で分かる総予算比較
消防  168億円
海保 2,253億円
警察 3,615億円
NHK 7,548億円

警察予算について

警察予算については、令和元年度の予算についてここに記載がある。 https://www.npa.go.jp/hakusyo/r02/honbun/html/w7712000.html

警察庁予算 = 3075億円
都道府県警察予算 = 3兆4227億円

なるほど、全国規模だとそれなりの金額ですね。ちなみに、警察に関わる方の人数は、全国でおよそ29万人だそうです。 https://www.npa.go.jp/hakusyo/r02/honbun/html/w7711000.html

消防予算について

消防予算については、令和元年度の数値がここに記載されている。 https://www.fdma.go.jp/publication/hakusho/r1/chapter2/section1/47700.html

市町村の普通会計(地方公営事業会計以外の会計をいう。)における平成29年度の消防費決算額東京消防庁を含む。以下同じ。)は2兆62億円。 消防庁の令和元年度の当初予算額は、一般会計分と復興庁一括計上を合わせて194億33百万円の予算を確保している。

なるほど、全国規模だとそれなりの金額ですね。ちなみに消防に関わる方の人数は「全国726本部、職員約16万人、団員約83万人」だそうです。 https://www.soumu.go.jp/shoubou/

海上保安庁について

次のURLに令和元年度予算額と令和2年度概算要求額があります。 https://www.kaiho.mlit.go.jp/soubi-yosan/nyusatsu/koukoku/201502/shiyousyo/R2kannkeiyosanngaiyou.pdf

令和元年度予算 = 2,153億円
令和2年度概算要求額 = 2,480億円

海上保安庁は警察や消防と異なり地方自治体側の組織がないから、上記の金額が全て。これが多いのか少ないのか、という判断は難しいけれど、海上保安庁の人数はおよそ1万2千人 https://www.kaiho.mlit.go.jp/info/books/report2008/tokushu/p032_02.html

警察、消防に比べて人数が一桁少ないので、予算額が一桁小さいのは特に違和感を覚えない。

民放の売上高と比較してみる

比較の都合上、民放の決算期は2020年3月期の売上高を引用し、NHKの令和元年度予算額の事業収入を比べてみます。

テレビ局 売上高 or 事業収入
フジテレビ 6,314億円
日本テレビ 4,265億円
TBS 3,567億円
テレビ朝日 2,936億円
テレビ東京 1,451億円
NHK 7,247億円

NHKの事業収入の金額は大きいといえば大きいが、他の民放もそれなりの売上高です。また NHK は上記の予算に全国の NHK 地方局の予算も含まれているけれど、民放の場合は各地の民放局は上記とは全く別の会社ですから、NHK の予算規模について批判するとしたら、民放1社で NHK と同様に地上波2チャンネル, BS2チャンネル、ラジオ3波(R1, R2, FM)をカバーするとしたら、どの程度の規模の組織や予算規模になるか、ということを考えてみるとよいのではと感じます。今回はここまでの比較を行ってはいないけれど、ざっくり考えると NHK の予算が突出して大きすぎることはないと感じます。

ちなみに NHK の予算には国家予算からは国際放送に関する交付金35,9億円 (令和2年度政府予算案) が支出されているだけなので、基本、税金での運営は行われておらず、事業収入は基本的に受信料です。しかし放送法の規定により NHK の予算は国会承認事項なので、予算規模の約 5% の交付金しか税金は投入されていないけれど、予算は国会で審議承認されるわけですね。

https://www.nikkei.com/nkd/company/kessan/?scode=4676 https://www.nikkei.com/nkd/company/kessan/?scode=9404 https://www.nikkei.com/nkd/company/kessan/?scode=9401 https://www.nikkei.com/nkd/company/kessan/?scode=9409 https://www.nikkei.com/nkd/company/kessan/?scode=9413 https://www.nhk.or.jp/info/pr/yosan/assets/pdf/2020/youyaku.pdf https://www.nhk.or.jp/faq-corner/1nhk/01/01-01-14.html https://www.nhk.or.jp/faq-corner/1nhk/01/01-01-11.html

まとめ

Twitter で中途半端にバズっている NHK 予算と警察、消防、海上保安庁の予算の比較については、冷静に比較すると NHK の数字が極端に大きすぎるものではないように感じます。

単に数字の大小だけを比較するようなやり方は、一見わかりやすいように見えて、実は非常に恣意的な比較の可能性があるので、脊髄反射的に数字の大小だけに反応してはいけないですし、元ネタの方はこの数字の大小だけを安易にツイートするのではなく、何がどのように問題であるかをロジカルに説明すべきではないかと感じます。

また、人は往々にして自分の信じるものを検索してしまいがちです。しかし、それによって変な方向にバイアスがかかってしまうので、何事も疑ってかかる姿勢が必要だな、とも感じます。